万葉集一覧1にゃ!

万葉集一覧にゃ‼

万葉集一覧1

あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る

紫草の にほえる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに われ恋ひめやも

思ふらむ その人なれや ぬばたまの 夜毎に君が 夢にし見ゆる

鶯の 通ふ垣根の 卯の花の うき事あれや 君がきまさぬ

大船に 葦荷刈り積み しみみにも 妹は心に 乗りにけるかも

瓜食めば子ども思ほゆ 栗食めば まして思はゆ 何処より 来りしものそ 眼交に もとな懸りて 安眠しなさぬ

白珠は 人に知らえず 知らずともよし 知らずとも われし知れらば 知らずともよし

籠もよ み籠もち 掘串もよ み掘串持ち この岳に 菜摘ます児 家聞かな 名告らさね そらみつ 大和の国は おしなべて われこそ居れ しきなべて われこそ座れ われこそは 告らめ 家をも名をも

大和には 群山あれど とりよろふ 天の香具山 登り立ち 国見をすれば 国原は 煙立つ立つ 海原は ?立つ立つ うまし国そ 蜻蛉島 大和の国は

わたつみの 豊旗雲に 入日さし 今夜の月夜 さやけかりこそ

冬ごもり 春さり来れば 鳴かざりし 鳥も来鳴きぬ 咲かざりし 花はさけれど 山を茂み 入りても取らず 草深み 取りても見ず 秋山の 木の葉を見ては 黄葉をば 取りてそしのふ 青きをば 置きてぞ歎く そこし恨めし 秋山われは

東の 野に炎の 立つ見えて かへり見すれば 月傾きぬ

あかねさす 日は照らせれど ぬばたまの 夜渡る月の 隠らく惜しも 

天地と あひ栄えむと 大宮を 仕へまつれば 貴く嬉しき

やすみしし わご大君の 高しらす 吉野の宮は 畳づく 青垣隠り 川次の 清き河内ぞ 春べは 花咲きををり 秋されば 霧立ち渡る その山の いやますますに この川の 絶ゆること無く ももしきの 大宮人は 常に通はむ

岩ばしる 垂水の上の さ蕨の 萌え出づる春に なりにけるかも

梅の花 降り覆う雪を 裹み持ち 君に見せむと 取れば消につつ

春の野に すみれ摘みにと 来しわれそ 野をなつかしみ 一夜寝にける

春の苑 紅にほふ 桃の花 下照る道に 出で立つ少女

ほととぎす 汝が初声は われにもが 五月の珠に 交へて貫かむ

野辺見れば 撫子の花 咲きにけり わが待つ秋は 近づくらしも

夕されば 小倉の山に鳴く鹿は 今夜は鳴かず い寝にけらしも

今朝の朝明 雁が音聞きつ 春日山 黄葉にけらし わが情痛し

牽牛の 嬬迎へ船 漕ぎ出らし 天の河原に 霧の立てるは

夜を寒み 朝戸を開き 出でみれば 庭もはだらに み雪降りたり

新しき 年の始の 初春の 今日降る雪の いや重け吉事

紫は 灰指すものそ 海石榴市の 八十の衢に 逢える児や誰

一目見し 人に恋ふらく 天霧らし 降り来る雪の 消ぬべく思ほゆ

天雲の 八重雲隠れ 鳴る神の 音のみにやも 聞き渡りなむ

朝去きて 夕は来ます 君がゆゑに ゆゆしくも 吾は嘆きつるかも

誰そ彼と われをな問いそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ

闇夜ならば うべも来まさじ 梅の花 咲ける月夜に 出でまさじとや

心無き 雨にもあるか 人目守り ともしき妹に 今日だに逢はむを

万代に 照るべき月も 雲隠り 苦しきものぞ 逢はむと思えど 

玉梓の 君が使の 手折りける この秋萩は 見れど飽かぬかも

人言を 繁み言痛み 己が世に いまだ渡らぬ 朝川渡る

魂合わば 相寝むものを 小山田の 鹿猪田禁る如 母し守らすも

言霊の 八十の衢に 夕占問ひ 占正に告る 妹はあひ寄らむ

妹に会わず 久しくなりぬ にぎし川 清き瀬ごとに 水占廷へてな

眉根掻き 鼻ひ紐解け 待つらむか 何時かも見むと 思へるわれを

相思はず 君はあるらし ぬばたまの 夢にも見えず 祈誓て寝れど

情ゆも 我は思わざりき またさらに わが故郷に 還り来むとは

大伴の 御津に船乗り 漕ぎ出では いづれの島に 廬せむ我

淡路の 野島の崎の 浜風に 妹が結びし 紐吹きかへす

留火の 明石大門に 入る日にか 漕ぎ別れなむ 家のあたり見ず

わが故に 妹嘆くらし 風早の 浦の沖辺に 霧たなびけり

妹を思ひ 寝の寝らえぬに 暁の 朝霧隠り 雁がねぞ鳴く

今日はこの辺にしておくにゃ!
参考:21世紀に読む日本の古典 万葉集